●子供が生活習慣病にかかる危険性
日本の若い女性に増える「やせ」問題と、低出生体重児など小さく生まれた赤ちゃんが生活習慣病にかかりやすいと言われる理由について書いていきます。
お母さんが妊娠糖尿病であったり肥満である場合には、赤ちゃんに栄養が供給され過ぎる「胎児の過栄養問題」が生じやすくなります。
しかし、これとは逆にお母さんがやせており胎児が「低栄養状態」で育ってしまうこともまた、生まれたお子さんが将来生活習慣病にかかるリスクを高める可能性があります。
これは、今の日本の社会では見過ごすことのできない問題といえるでしょう。
なぜなら、日本における妊娠可年齢の女性はやせ志向が強く、実際に20代ではおよそ4人に1人が「やせ」とデータでも示されています。
●やせ妊娠の合併症ー小さな赤ちゃんが生まれやすい
やせ妊娠の合併症には、切迫早産・低出体重児(出生体重が2500g未満)などあります。
赤ちゃんが低体重児など比較的小さく生まれてくる理由は、お母さんから届く栄養が少なく、成長因子であるインスリン分泌が十分になされなかったためと考えられます。
お腹の中の赤ちゃんは、栄養が十分に届かないという環境に適応しようとしますから「なるべくエネルギー消費を抑え、脂肪としてため込もうとする体質へ」と育っていきます。これは、インスリン分泌が少なくインスリン抵抗性が強いという体質になりやすくなるということです。
しかし、エネルギーや糖をため込む体質を持った赤ちゃんが生まれてくる環境は、「飽食の時」と呼ばれる現代の日本です。
赤ちゃんが小さく生まれてきた時、お母さんはミルクをたくさん与えようとしますが、これは子供が太りやすくなってしまったり糖代謝異常を起こしやすくなることに繋がります。
●胎児期の低栄養問題と減少する平均出生体重
かつて日本では、「小さく生んで大きく育てよう」という言葉が使われていましたが、これは将来のメタボリックシンドローム発症への危険性を上げる危険な行為と考えられます。
出生体重が小さく、また小児期の体重増加が大きいほど肥満や2型糖尿病・高脂血症・高血圧などの生活習慣病の発症率が高くなると明示されています。
今の日本では、赤ちゃんの平均出生体重が右肩下がりに減っています。
かつては3200gほどであった平均出生体重は、今では3000gを切るまでに下がりました。
2500g未満の低体重児はおよそ10人に1人の割合で見受けられます。
早産ではない、正期産のお産(37週~41週6日の間のお産)で赤ちゃんが小さく生まれる原因としては、やせ・妊娠高血圧症候群・喫煙妊婦などがあげられます。
したがって、低出生体重を予防するには喫煙や食生活の改善が必要になります。