●妊娠糖尿病にかかったお母さん・赤ちゃんが将来発症する可能性のある病気
一般的に妊娠糖尿病の最大のリスクと考えられているのは、母児や新生児の合併症です。
しかし、妊娠糖尿病と診断されたことのある女性は将来危険な2型糖尿病にかかりやすく、妊娠糖尿病のお母さんから生まれたお子さんは、成長期に入ってから(もしくは成人してから)生活習慣病にかかるリスクが高まるといわれているため、妊娠中や分娩時のみに注意を払えばよいわけではありません。
妊娠とは、「おなかの中に糖を必要とする赤ちゃんをもつ」という事であり、女性にとってひとつの負荷テストになると捉えられます。
妊娠により妊娠糖尿病にかかったという方は、インスリンの分泌が悪いか効きが悪い体質ということになりますから、将来2型糖尿病にかかる頻度が高くなりやすいのです。
特に、肥満の方や妊娠早期に妊娠糖尿病と診断された方、妊娠中の血糖値が高かった方やインスリン分泌が少なかった方などは、産後も定期的にスクリーニング検査をうけ、食事や運動による健康維持に気を配っていく必要があります。
妊娠糖尿病にかかったということは、長い人生の中で妊娠可能な若い時期に「自分が糖尿病になりやすい体質であることが分かった」と捉えてもいいかもしれません。
●なぜ将来子供が生活習慣病にかかりやすくなるの?胎児期の過栄養が原因
おなかの中の赤ちゃんは、臍帯を通して適度な栄養を得て、適度にインスリンを分泌することで成長していくことが理想です。
しかし、妊娠糖尿病患者さんの胎児はお腹の中で「過栄養」状態になりやすい傾向があります。
糖を必要以上に与えられた胎児は、それを代謝するためにインスリンをたくさん分泌する体質となる傾向があります。
すると、生まれてからもそのお子さんはインスリン分泌が過剰という状態が続き、将来的に代謝異常を起こしやすくなる可能性があるのです。
これが、妊娠糖尿病患者さんのお子さんが将来生活習慣病や糖尿病になりやすいといわれる理由の一つです。
●妊娠糖尿病は3段構えで考える。
・妊婦さん、胎児、新生児の合併症の増加
・出産から2年後、5年後、10年後など、将来のお母さんの2型糖尿病発症のリスク増加
・子宮内において高血糖にさらされた胎児が将来生活習慣病などを発症する可能性
妊娠糖尿病とは、この3段階構えで考え長期的視点をもっていかなければいけません。