多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)若い女性の排卵障害では多くみられる疾患で卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない疾患です。
自覚症状としては
(1)月経周期が35日以上
(2)月経周期が以前は順調だったのに現在は不規則
(3)ニキビが多い
(4)やや毛深い
(5)肥満
PCOSでは、超音波で卵巣をみると10㎜位の同じような大きさの卵胞がたくさんできて卵巣の外側に1列に並び、なかなかそれ以上大きくならないのが特徴で、ネックレスサインと呼ばれています。
どうして排卵うまく行われないかというと、卵巣内の男性ホルモンが多いことが原因といわれています。
自覚症状の(3)(4)は男性ホルモンが高いことによる症状です。
男性ホルモンを高くさせている原因は、脳から出ているLH(黄体ホルモン)と血糖値を下げるインスリンというホルモンの作用です。
それらが正常より強く卵巣に作用して男性ホルモンが局所的に上がっていると考えられています。
ですからPCOSの方は、生理中の血液検査で脳から出るゴナドトロピンをはかるとLHがFSHより高くなるという特徴があります。
また、血中の男性ホルモンの値も軽く上昇していることがあります。
多嚢胞性卵巣症候群の原因
原因についてはさまざまな説があり、未だにはっきりとは解明はされていません。
しかし現在のところ内分泌異常、あるいは糖代謝の異常などが考えられます。
●内分泌異常
脳下垂体からはLH(黄体形成ホルモン)FSH(卵胞刺激ホルモン)が出て卵巣に働き卵胞の発育を促しますが、多嚢胞性卵巣症候群の方はこのうちLHの分泌が増えFSHとのバランスの乱れがおこり卵胞がうまく発育できないようです。
排卵がおこらないと排卵をさせようとさらにLHの分泌が増えるため、乱れがますますひどくなるという悪循環に陥ります。
●糖代謝異常
近年、多嚢胞性卵巣症候群はインシュリンと関連しているものと思われています。
インシュリンは膵臓から分泌されるホルモンで、グリコースから体にエネルギーが得られるようにするものです。
多嚢胞性卵巣により、このメカニズムに影響する細胞ができ,インシュリンの量が増加するためにより、さらに男性ホルモンも増加するのではないかと言われています。
これにより、月経不順や毛深くなったりします。
たとえ、多嚢胞性卵巣症候群と診断されても自力で排卵があれば自然妊娠も可能だそうです。
ところが、排卵しずらく排卵日の特定が困難だったり、排卵の回数が少ないために妊娠しずらくなっていたり、無排卵の場合は治療が必要になります。