子宮筋腫ができる子宮は一体どのようなものなのでしょう。
まずは子宮についての予備知識をご説明します。
子宮には胎児を育てるという役割があります。
鶏卵大の大きさで、平滑筋という筋肉でできている袋状の臓器です。
大きくふたつの部分に分けられ、上部3分の2が子宮体部、細くなっている部分である下部3分の1が子宮頚部と呼ばれます。
子宮は、外側から漿膜・子宮筋層・子宮内膜の3層で構成されています。
子宮内膜は一定の周期で厚みを増し、妊娠が成立しない時には剥がれ落ちます。
これが月経です。
子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。
腫瘍とは、異常に増えた細胞の集団で、コブのような塊のことをいいます。
子宮筋腫は良性なので、がんのように他の細胞を脅かしたりするものではありません。
ただ、腫瘍の大きさや数、発生する位置などで症状が出ることがあり、それが問題となります。
子宮筋腫は、発生する場所で「子宮内筋腫」「粘膜下筋腫」「漿膜下筋腫」の3種類に分けられます。
タイプによって症状や治療法が変わってます。
●子宮内筋腫
子宮の筋肉の中にできる筋腫です。
子宮筋腫の6~7割はこのタイプで、最も多くみられるものです。
色々なところにいくつもできやすく、大きく成長しやすいのが特徴です。
●粘膜下筋腫
子宮内膜のすぐ下に発生する筋腫です。
約1割がこのタイプで、小さくても症状が出やすいのが特徴です。
●漿膜下筋腫
子宮壁の外側にできる筋腫です。
子宮筋腫の2~3割がこれにあたります。
子宮の外側に向かって成長し、筋腫が大きくなるとほかの臓器を圧迫してしまい症状が出ます。
では、なぜ子宮筋腫は発生するのでしょう。
その原因ははっきりとは分かっていません。
子宮筋層には、子宮筋腫の核が存在しており、それが大きくなったものが子宮筋腫です。
その成長には女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが関係しています。
どちらも卵巣から分泌されます。
しかし、子宮筋腫の核の全てが卵巣ホルモンの影響を受けたとしても、そのすべてが全部大きく成長するとは限りません。
卵巣ホルモンの影響で成長するので、成熟期の女性に多く発生し更年期以降は縮小する傾向があります。
●子宮筋腫の症状
代表的なものは、過多月経・貧血・月経痛などがあげられます。
最も多い症状は過多月経です。
「過多月経」
月経が10日以上続く、月経の出血量が多い、血液の塊がたくさんでるなどがあります。
筋腫により子宮筋膜の面積が増えることで、げっけいの際に剥がれ落ちる内膜の量が増えるため出血量が多くなります。
「貧血」
過多月経によって鉄欠乏性貧血になります。
「月経痛」
筋腫は収縮しないので、筋腫以外の筋肉部分が月経血を排出するために強く収縮します。
強い収縮で辛い月経痛が起こります。
他にも、筋腫が握り拳程の大きさになると下腹部に硬いしこりを感じるようになったり、筋腫が他の臓器を圧迫して便秘や腰痛、下腹部痛、頻尿などを引き起こしたりします。
子宮筋腫は、女性なら誰にでも起こりうる病気です。
気になる症状がある場合は、婦人科を受診し相談しましょう。
年齢やライフスタイルによっても治療法が変わってきます。